◆ 演出技法よる分類 ◆

川尻泰司は、従来の人形構造による分類に区分け、演出技法にをもう一つの軸を、新たに採用することで、より系統的にわかりやすい分類になった。演出技法とは、人形劇を演じる舞台手法に着目した分類で、実演者らしい視点である。ケコミづかい、出づかい、影絵人形劇、ブラック・シアター、オブジェクト・シアター、腹話術などに区分した。
 その結果、2要素を組み合わせて分類することで、論理的な分類が可能になった。しかし、現状では、人形劇人の中では、よく理解されていないこともあり、一般化した分類とはなっていない。

ケコミづかい (けこみ・づかい)

ケコミと呼ばれる、つい立状の幕を張った舞台の後ろに、人形つかいが隠れ、人形をケコミの上に出して演じる人形劇。現在も、最もポピュラーな人形劇の形式。 (→ ケコミ

ケコミ
人形劇団ぐるーぷ・あ「タン平君とコン吉くん」

パネル芝居 (ぱねる・しばい) 

藤原玄洋の造語。人形劇では、近年よく使われる手法で、上演会場を暗くできない保育園や、幼稚園などで、キャスターの付いた可動パネルを使うことで、暗転にしない状態で明るいまま、場面展開を次々に行う技法。

可動パネルを、緞帳のように舞台前で閉じることで、暗転による舞台進行の不連続感なしに、次の場面に移行できる利点がある。可動パネルが閉じられても、人形劇の進行は止めない。閉じた可動パネルの前(パネルには、背景や、簡単なセットを貼り付ける場合もある)で、出づかいなどで上演を続け、裏では次の場面転換の準備がなされる。
 幼児を対象にした人形劇でも、暗くすることで幼児を不安にさせることなく、芝居の進行をしながら、舞台転換を行うことができる。

この技法は、川尻泰司がモスクワで、可動パネルを使った青少年劇団の演劇を見て、日本の人形劇団プークに導入した。(→ 可動パネル

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人形劇団ぐるーぷ・あ
  「魔法のホウキ」

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