◆ 人形の構造による分類 ◆


その他の構造の人形

指人形 (ゆび・にんぎょう) finger puppet

指先に小さな筒状の人形を差して動かす人形。単純で小さな人形だから、特別の舞台もいらないし、ごく小人数の集まりでもできる。手袋の五本の指先全都にひよこの頭をつけ、五羽のひよこを一度に動かすような人形もできる。また5人家族の人形を五本指にはめて、歌をうたったりすることもできる。

指人形

片手づかい人形のことを、〈指人形〉と読んでいることが多いが、人形劇界では、この呼称は用いられなくなった。〈片手づかい人形〉と〈指人形〉は、別の構造の人形である。(→ 片手づかい人形

足づかい人形 (あしづかい・にんぎょう) leg puppet

埼玉県入間市の祭りで、山車の上で、足を使って演じる人形。演者は、仰向けに寝て、両足を高く上げ、足の甲におかめと、ひょっとこの面をつける。上から着物を着せ、演者の手を、人形の手として袖に差し込んで演じる。

入閒:足踊り01 入閒:足踊り02

アニマトロニクス (あにまとろにくす) animatrornics

1980年代中頃から、主に、映像の舞台人形に用いられた手法で、複雑な機械機構を使って操作される構造の人形。

従来の舞台人形では、糸あやつりのための糸や、棒つかいのつかい棒を目立たなくしたとしても、観客の目に見えてしまっていた。舞台を使った上演では、舞台人形と観客の間に距離があり、あまり気になることはない。しかし、映像を媒体とした人形劇では、クローズアップのカットが多用されるので、操作のための仕掛けが目立つのを嫌って開発された手法。

主に、2つの手法がある。人形の首、あるいは胴体に、パイプ状の短いつかい棒を付ける。パイプの中には人形を動かすためのワイヤーが仕込んである。そのワイヤーを手元のつかい棒に取り付けられた引き金などによって操作する。人形内部にはモーターが仕込んであるので、小さな力で操作できる。

もうひとつは、リモートコントロールの自動車のおもちゃのように操作するもの。人形に細くて長いチューブが取り付けられている。もう一方の端には、コントローラーが付いている。コントローラーの形状は、操作する人形と相似形の形をしている。操者は、人形の形をしたコントローラーを、人形を動かすように操作すれば、実際の人形が相似形になっているので、同じ動きをするように作られている。この方法の利点は、完全に操者が画面に映ることなく演じられる点。また、構造の特性から、すごく小さな人形や、あるいは、とても大きな人形を遠隔操作できる。コントローラーが、人形の形になっているので、人形の大きさに関係なく、まるで人形を直接つかっているように違和感なく操作できる。

 


◆ 次のページを見る 【演出技法による分類】

 参考文献
「学校劇事典」 落合聰三郎 1984