◆ 演出技法よる分類 ◆
ブラック・シアター
ブラック・シアター (ぶらっく・しあたー) black theater
新しい演出技法で、1950年代末にチェコスロバキアの若い人形劇グルーブによって開発され、急速に発展した。
舞台の背景を完全に黒バックにし、操者は黒い衣裳(黒衣:くろこ)を着用する。会場を暗闇にして、光が入らないようにする。
スポットライトで人形にだけ光があたるようにして、暗闇の舞台の中で人形だけを浮かび上がらせて、後ろにいる操者を見せることなしに、人形のみを見せる。
これは、インドの黒魔術の技法が使われている。観客に強い光をあてることで、観客の目の光彩を小さくさせ、露出不足のカメラのような状態で舞台を見ることになるという原理である。結果、暗部は多少見える状態であったとしても、観客には背景が漆黒の闇に見えるので、人形操者が見えなくなってしまうのだ。
もう一つの方法は、人形を螢光塗料で着色し、紫外線のみ出る特殊な螢光灯(ブラック・ライト)で舞台全体を照らし、人形だけを光らせる方法である。
後者の方がブラック・ライトさえあれば比較的容易にやれる方法である。これらの技法は暗闇の中で人形操者を感じさせないで、人形だけのファンタスティックな舞台をつくることができる。

ソフィア中央人形劇場「ピーターと狼」
黒の劇場 (くろの・げきじょう) black theater
ブラック・シアターの日本語訳としての、川尻泰司の造語。
(→ ブラックシアター)

人形劇団プーク 黒の劇場「男鹿のなまはげ」
舞台人形だけが登場する人形ファンタジーとしてだけでなく、人形劇団プークの川尻は、「チンドン屋でござい」で、人間俳優と、舞台人形が、対等な関係で舞台を創ることが可能となった作品を発表した。操者が見えている出づかいとは正反対な手法で、新しい人形劇の世界を創りだした。 (→ ブラックシアター)

人形劇団プーク 黒の劇場「チンドン屋でござい」
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