◆ 人形の構造による分類 ◆


プルチネッラの仲間たち

プルチネッラは、16世紀頃から18世紀頃にかけて、主にヨーロッパで流行した仮面劇のコンメディア・デッラルテ(Commedia dell'arte)のストック・キャラクターで、イタリアを代表とするブラッティーニ(人形劇の意:Burattini)のキャラクターでもある。
 イギリスに渡り、パンチと呼ばれるようになった。19世紀頃には人形劇の「パンチ&ジュディ」劇へと変化し人気を博した。「パンチ&ジュディ」は、後にハリソン・バートウィッスルとマイケル・フィニスィーによってオペラにもなるなど、様々な芸術分野で題材として取り上げられている。
 フランスにおけるピエロの起源を、このプルチネッラとする説もある。

そして、イギリスのみならずヨーロッパ各国に広がり、ドイツではカスペル劇、フランスではギニョール劇、ロシアでは、ペトルーシカ劇と名前を変えて、国を代表する人形劇のキャラクターとなっている。
 ストック・キャラクター(stock characte): 映画や演劇で、人物の個性ではなく、配役のステレオタイプを演じるもの。例えば、古代ギリシャ劇では、ヘルメスが神々に対する道化という、ストック・キャラクターである。

 

プルチネッラ Pulcinella

テアトロ ・デイ ・ピッコリ・プリンチピ(イタリア)「プルチネッラとエウリディーチェ」
 
 プルチネッラは、16世紀頃から18世紀頃にかけて、主にヨーロッパで流行した仮面劇のコンメディア・デッラルテ(Commedia dell'arte)のストック・キャラクターのひとつであり、イタリアを代表とするブラッティーニ(人形劇の意:Burattini)のキャラクターでもある。
 猫背で、だまされやすい男。鷲鼻で黒いマスクを被り、白い外套を着ている姿が定番である。

 写真は、テアトロ ・デイ ・ピッコリ・プリンチピ(イタリア)「プルチネッラとエウリディーチェ」

パンチ Punch

パンチ・アンド・ジュディ
 イタリアからイギリスに渡り、パンチと呼ばれるようになった。19世紀頃には人形劇のパンチ&ジュディ劇へと進化し人気を博した。国を代表する人形劇のキャラクター。それを主人公とした人形劇全体を指す総称としても使われている。

 パンチ・アンド・ジュディは、後にハリソン・バートウィッスルとマイケル・フィニスィーによってオペラにもなるなど、様々な芸術分野で題材として取り上げられている。

 写真は、日本人形劇研究所 所蔵のパンチ

ポリシネル Polichinelle 

ザイツェフのポリシネル
 絹織物貿易を通じてイタリアからフランスに伝わった。
  1610年にイタリアのジョヴァンニ・ブリオッチ(Giovanni Briocci)が、絹の集散地として賑わっていたリヨンにイタリアの手づかい人形劇ブラッティーニ(人形劇の意:burattini)を持ち込んだ。

 ブリオッチは歯抜き師(歯を抜いて、その治療薬を売る行商人)で、その客集めに人形劇を見せたところ、大人気となった。そこで歯抜き師を辞めて人形劇の興行を専業とした。出し物はイタリアの道化師プルチネッラの笑劇(ファルス)が中心だった。人気とともに主人公の名をフランス語読みのポリシネルに変え、ブリオッチ自身もフランス名に改名した。  【Wikipedia】

 写真は、ザイツェフのポリシネル

ギニョール Guignol 

日本人形劇研究所 所蔵のギニョール
 ギニョールは、1808年にフランスのローラン・ムルゲによって創作された手づかい人形のの主人公の名。それを主人公とした人形劇全体を指す総称としても使われている。

  ムルゲは1769年にリヨンで生まれた。絹織物の職工から行商人になり、ブリオッチにならって、1798年に客寄せのために人形芝居を始めた。
 1804年には人形芝居を専業とし、リヨンの織物業の職工相手に日々の出来事を面白おかしく伝える芝居で人気を集めた。もともとは、労働者の娯楽として大人向けの滑稽な人形劇として始まり、風刺のきいたドタバタ喜劇で人気を得た。

 当時、絹の職工たちは低賃金で過酷な労働を強いられていたため、支配層をたたく辛辣で痛快なギニョールの芝居は、貧しい労働者たちを大いに喜ばせた。貧しくともユーモアを忘れず、常に庶民の味方というキャラクターは一貫している。
 現在は子ども向けとして、ギニョールが面白おかしく悪者を退治する勧善懲悪の話や、ピノッキオなどのおとぎ話が主な演目になっている。
 リヨンのほか、パリのリュクサンブール公園にも常設劇場がある。  【Wikipedia】

 写真は、日本人形劇研究所 所蔵のギニョール

カスペル Kasper

ウニマ・ドレスデン大会でのカスペル劇
 イタリアからドイツに渡り、カスペルと呼ばれるようになった。国を代表する人形劇のキャラクター。それを主人公とした人形劇全体を指す総称としても使われている。
 ゲーテの代表作「ファウスト博士」の博士の従者として、コミカルなキャラクターとしてカスペルが登場する。ゲーテは幼少期、家庭で人形劇を上演して楽しんだ。博物館には、当時の人形劇舞台が展示されている。

 写真は、ウニマ・ドレスデン大会でのカスペル劇

カシュパレク Kasparek

トーマス・ダブスキーの糸あやつり人形のカシュパレク
 イタリアからチェコにたどり着き、カシュパレクと呼ばれるようになった。国を代表する人形劇のキャラクター。赤い頭巾に、赤い衣裳の道化。

 ソ連に支配された時代、チェコ語は禁止になった。しかし、人形劇の上演に限って、民俗的演劇ということで、チェコ語の上演が、お目こぼしになっていた。。コペツキーをはじめとする人形劇人の活動で、カシュパレクは、人形劇の中心にいて活躍をした。その結果、子どもたちからチェコ語が奪われることはなかった。
 解放後、国立人形劇場の建設の際、市民がレンガを持ち寄ったという逸話がある。

 写真は、トーマス・ダブスキーの糸あやつり人形のカシュパレク

ペトルーシカ Petrushka

日本人形劇研究所 所蔵のギニョール

日本人形劇研究所 所蔵のギニョール
 ペトルーシカ(ロシア語: Петрушка)は、ロシアの民間の人形劇「ラヨーク」のストック・キャラクターの一つ。遅くとも17世紀には知られていた。ペトルーシカには、糸あやつり人形や手づかい人形が用いられる。

 ペトルーシカの役柄は、赤い衣装や赤いとんがり帽子のコルパックを身にまとい、しばしば長い鼻をした、一種の道化師として演じられる。
 しかしながら、ペトルッキョやピエロといったストック・キャラクターとは少しも(あるいは全く)共通点が無く、性格においてはむしろロシア版のパンチやプルチネッラというべきである。

 ペトルーシカの名は、ロシア人の男性名ピョートル(ロシア語: Пётр)に由来している(手に握って振った時の動きが似ていることから、ロシア語でペトルーシカと言えばハーブの一種も意味している)。
 もともとペトルーシカは、成人の観客を狙ったドタバタ劇の登場人物であった。人形劇として次第に子ども対象のものとして広まるようになり、ペトルーシカはさほど卑猥でも刺戟的でもなくなった。  【Wikipedia】

 写真は、ザイツェフのペトルーシュカ/上:手づかい人形 下:糸あやつり人形

 


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