● どこが人形劇切手なの?
人形劇の切手を集めていると、「どこが人形劇切手なの?」というものに、出会うことがあります。
問題です! 図にある切手のどこが人形劇切手でしょう?。
これは、1977年発行のベルギーの切手です。 観光をテーマに4枚組で発行されたもので、リエージュ市のオウトラ博物館の銅像です。
ご想像どおり、人物像が掲げるのが人形なのです。チャンチェの人形をつかうリュイックの像です。でも、知っていなければ、気づきませんよね。
私も、教えてもらって知りました。この切手を見つけたのは、私の人形劇の先生である川尻泰司です。リエージュを訪れた際、入手したもので、結構、自慢げに話題にされていた記憶があります。先生は、人形劇切手をジャンルとして集め始めた最初の人かもしれません。
チャンチェは炭鉱夫で、どんな演目にも主人公として登場する、ヨーロッパではよくあるキャラクターの人形です。人形の動かし方としてはユニークな構造です。頭の上に太い針金が1本刺さっていて、針金の上端を握って操作するものです。後は、片手を操作する針金が付いているだけのシンプルな構造です。糸ではないので、糸あやつり人形とは呼びにくいので、棒吊り人形と呼ばれています。現在の糸あやつり人形の先祖と考えられています。
もう一方の手に針金がさらに加わって、3本で操るようになったのが、騎士道物語の演目で知られる、イタリアのシチリア島の人形です。ヨーロッパでは、この太い針金が、次第に糸に置き換わって、現在の糸あやつり人形になったと考えられています。
両手の棒が、糸に換わった構造の人形は、現在もチェコなどに残っています。
銅像の拡大図
2016.07.10
● この切手、どこが違うの?
左下の切手は1999年3月、右下の切手は同じ年の12月に、スイスで発行されたクレイアニメ「ビングー」の切手です。
一見同じように見えますが、違いがわかりますか?
左の切手の荷物には、ヒモがかかっていますが、右のものにはヒモがありません。芸の細かいことには、下段のスクーターに乗っている小さな荷物も違えてあります。下段の切手だけでクイズにすれば、気づかない方が多いのではないでしょうか。
額面違いで同じデザインの切手が発行されることは、めずらしくありません。しかし、この「ビングー」の切手は、額面も同じで、ヒモ以外の他の部分は全く違いが見えません。しかも、これらは同じ年に発行されています。どんな事情があったのでしょう? 謎です。
2017.03.24
● これって、切手なの? 教えてください
下の画像は、シンデレラの棒人形のようです。グーグルで見つけたものですが、切手なのでしょうか? ご存じの方がいたら教えてください。
画像の右下に、消印ぽいものが見えるので、切手かなと思ったのですが、額面の記載がない。おまけに国名らしきものは、国名でなく「ショーナ」というジンバブエに隣接した3ヵ国にいる民族の名前らしいので、切手とは違うような気もします。
しかし、古びた感じが、シールではないようにも見えます。ご存じの方がいたら教えてください。
2018.06.07
● 切手の集め方について
切手を集めるコツ
「集めすぎない」という一言につきます。始めるとわかりますが、これは思っている以上に、かなりむつかしいことです。
私が集め始めた頃は、人形劇切手に限れば、50種類もありませんでした。なんか寂しい気分で、いきおい関係ありそうなものは、なんでも集めてしまいました。
しかし、現在では、250種類以上も見つけることができました。範囲を広げた、このカタログに掲載されているものでは、800種類近くになります。
このカタログに掲載されているものを、現時点ですべて集めようとすれば、50万円以上はかかるかもしれません。コレクター魂のある方は、ぜひ、挑戦してください。5年くらいかければ、9割以上は、集めることができるでしょう。
予算が許せば、2年で半分くらいで、手に入れることも可能でしょう。有能な切手屋さんと、お友だちになれれば、どんどん見つけてくれます。そんなこと、コレクター魂に反すると思われる方は、自力でがんばってください。私自身は、軟弱なコレクターですが……。
コレクターのなかには、余っているから「あげます」といっても、「ありがとう。でも、自分で探す」という人がいて、ちょっとびっくりしました。
というわけで、お金や時間のことを考えて、集めてみようと思われる方は、コレクションの範囲や、基準をしっかり決めてから始めることをお薦めします。
くどいようですが、必要以上に、集めすぎないことです。「今、ゲットしなければ、次はないかも」という気持ちを振り切るのは、結構むつかしいものですから……。
魅力的なコレクション
私自身のお薦めは、このようなカタログを作るのでなければ、シリーズで発行されたものの中から、舞台人形の切手のみ、切手帳に並べるというものです(もちろん、他の切手は別に保管)。これは、かっこいいですよ。人に見せたときに、関係のない切手と、ごちゃごちゃになっていないから、見栄えがよくて、「すごい!」と、うらやましがられるかもしれません。
「糸あやつり人形」だけしか集めないというのも、かっこいいと思います。私のコレクションを人に見せたとしても、「すごいですね」とはいってくれますが、内心は「うんざり」という気持ちが見えます。百科事典は役に立ちますが、愛読書数冊の魅力には勝てませんから……。みなさんは、ぜひ魅力的なコレクターを目指してはいかがでしょう。 糸あやつり人形の切手は、「人形劇切手展示室」でご覧になれます。
ずいぶん前の経験ですが、「あやめ」という源氏名の料亭の女将さんに、通っているお客さんが、世界中の「あやめ」がデザインされた20枚足らずの切手だけを、額装してプレゼントされたものを、うれしそうに見せてくれました。「やるじゃん!」ですね。
完全版を望まなければ、欠番の切手を手に入れるために、大枚をはたくこともなくなります。ちょっとグチると、このカタログの切手の写真をとるため、テーマに関係のない切手1枚のために何千円も費用をかけることになりました。完全なシリーズをそろえるのは、結構大変です。私の場合、有能な切手屋さんの意欲をそがないために、すでに手に入れてあっても、だまって言い値で全部購入するというワザを使わねばなりません。
このカタログがあるので、あらかじめレイアウトの見当をつけて、収集することができます。
というわけで、1人でも多くの方に、仲間になっていただければと思います。
2016.07.10
● ネットで切手を探す
切手を探すなら、スコットという便利な本があります。東京・目白の切手博物館の閲覧室で利用することも可能です。手近な図書館には、なかなか常備しているような本ではありませんし、購入すると毎年発行されるのに、セットで数万円はします。しかし、ネットならで居ながらにして、不完全ながら切手を探すことができます。
私が、利用しているホームページをご紹介します。
● WADP番号システム(WNS) https://www.wnsstamps.post/en/
万国郵便連合(UPU)と世界フィラデルタ開発協会(WADP)によって開発された、WADP番号システム(WNS)は、UPUによって発行されたすべての本物の切手のデータベースを作成する目的で、2002年1月1日に導入されました。
目標は、WNSがスタンプの問題を検証できる中心的な参照ポイントになり、真の切手を承認することで、合法的な切手市場をサポートすることです。UPUの国際事務局(IB)が受け取った郵便切手だけが、WNS番号を付与され、WNS Webサイトに追加されます。したがって、WNSのWebサイトは、違法に発行された切手、および切手であると主張されているラベルを除いて閲覧できるツールとして管理しています。 WNSは、UPUが導入したツールの1つであり、投稿および社会通念市場全体としてこの問題に取り組むことに役立っています。 【WNS Webサイトより】
目標は、壮大なのですが、2002年以降の切手しか扱われていませんし、加盟国(地域)のみの切手だけです。おまけに、加盟国であっても、報告されないと掲載されません。当初は、加盟国はこまめに報告をしていたのですが、尻すぼみになっている国も多数あるようで、国情が透けて見えます。
しかし、このサイトでは、スコットのように代表切手のみの画像掲載をするのでなく、発行切手すべての1点1点が掲載されているので、テーマを持って収集している人にとっては、とても助かります。
年間、約5,000点の切手が掲載されていますので、継続的にチェックをするコツとしては、発行年度ごとの総ページ数をメモっておけば、更新されたかどうかがチェックできます。さらに、年度内の月ごとのページ数をメモっておけば便利です。(私は、エクセルで管理しています) ただ、更新された切手枚数が、最終ページからあふれないと、ページ数が増加しません。しかし、掲載枚数でチェックするのは煩雑で、長続きさせるなら、あまりお薦めできません。
● スタンペディア(Stampedia) http://www.stampedia.net/ja
日本郵趣協会が作っています。やはり世界で発行された切手、1点1点が掲載されています。発行当初の切手から網羅されていますから、対象は膨大ですが、現時点では、37ヵ国、118,450点とトップページにあります。メモっておけば、更新されたことがチェックできます。WNSが93,000点規模ですから、まだまだこれからというところのようです。
画像のみの掲載で、切手の詳細についての記述はありません。
2016.02.19
● 人形劇切手の国別発行ランキング
どの国が、人形劇の切手を一番発行しているかを、私のコレクションで数えてみました。結果は以下の通りです。
人形劇切手 国別発行ランキング |
|||
順位 |
発行国 | 点数 |
|
1 |
日 本 | 23 |
|
2 |
タ イ | 13 |
|
3 |
イギリス | 13 |
|
4 |
ドイツ | 13 |
|
5 |
インドネシア | 13 |
|
6 |
台 湾 | 13 |
|
7 |
中 国 | 12 |
|
8 |
フランス | 7 |
|
9 |
セントビンセント | 7 |
|
10 |
チェコ | 6 |
|
11 |
アメリカ | 6 |
|
(2017年3月現在) |
12 |
ボリビア | 6 |
点数は、単片の数でなく、発行単位の数で、セットのものは1点。
※ 中国は、香港、マカオを含んでいます。
やはり、伝承人形劇のある国が、ランキング上位を占めています。日本では文楽、タイはワヤン、イギリスはパンチ、ドイツはカスペル、インドネシアはワヤンです。国を代表する伝統芸能が、切手のデザインとして選ばれるのでしょうね。
日本が、ダントツに多いのには、ちょっと驚きです。文楽だけでなく、各地に人形浄瑠璃が多数あるので、ふるさと切手に採用されています。
他にも、からくり人形や、ひょっこりひょうたん島の人形などもあり、多様な人形劇の文化財があるということで、人形劇人としては、ちょっと誇らしい気分です。
2017.03.23